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楽器と実験 ー自分で行う楽器の整備ー 長松正明

2.リードをセンサー(検知器)にして活力を調べる

 前回、楽器に取り付けたリードで他のリードの活力を調べることをおこないました。今回はこれを応用・発展させます。

 リードはいくつかのものに接触する形で用いられます。それはマウスピース、リガチャー、リードチューブ、リードワイヤー、リード糸、エナメル、そして吹き手の口などとなります。

 そこで、これらがリードに対して活力の面でよい働きをしているのか否かを調べてみることにします。なお、吹き手の口についてはここでは省略します。

 

実験4 リード関連品の活力を調べる

 調べる方法は、前回と同様にリード後端に調べたいものを当てて吹いてみて、鳴り方が向上するか低下するかで判断します。

 以下のものを調べてください。なお、通常どのようになるかなどを記しておきます。

 

1.マウスピース

 いろいろな材質のものがありますが、いずれもリードの活力が奪われて鳴りにくくなります。材質的な改善が必要となります。

 

2.リガチャー

 これもいろいろの材質が使われていますが、いずれも鳴りよくありません。材質によって鳴り方の差が大きく現れます。リガチャーについては後編で項目設けて取り上げます。

 

3.マウスピースキャップ

 直接リードに接触するものではありませんが、これも鳴り方を悪くしています。この影響の改善の一方法がありますので、この後で取り上げます。

 

4.リードチューブ

 金属とコルクとシェラックから成り立っていますが、そのままでは鳴りよくありません。特に古くなると活力がかなり低下します。

 

5.リード糸、リードワイヤー

 これらはリードに圧接するため大きな影響があります。そのままでは活力不足になりますので改善が必要となります。

 

6.エナメル

 概して石油系のものは鳴りを悪くします。何らかの処理が必要となります。

 

 以上調べてみて、ほとんどのものがリードの活力を奪って鳴りにくくしていますが、改善を進めていくと、それに応じてどんどんよくなってきます。

 

実験5 活力のあるものを探す

 前述した方法で活力のあるものを探します。いろいろのものをリードに当てて音を出し、その活力を調べてみてください。

 これをおこなってみると、ほとんどのものが鳴りを悪くし、なかなか活力の高いものに出合わないでしょう。

 いくつか鳴りをよくするものがありますので次に上げます。

 それらは、リードの表皮(削り取ったもの)、水素水、カルダモン(スパイスの一種)、マカデミアナッツ、人の指などです。

 今後これらを活用していきたいと思いますが、今回は人の指の活用を取り上げます。

 

実験6 人の指の活力を調べる

 ロングトーンを吹きながらリードの後端に指を当てて鳴り方をみます。

 利手によって活力が異なるようなので、右利きの場合で述べます。

 一番効果が大きいのは右手の親指で、次に人差し指、つづいて中指、薬指、小指となります。

 左手は、効果の順は同じですが活力のレベルは右手より低く、左手の親指が右手の中指くらいとなります。

 以上は利手によって反対になったり、個人差があらわれてきますので、おのおので両手の指の活力を捉えてください。

 

実験7 指を用いたリードの改善

 指を用いてリードの改善をおこなうことができますので以下に述べます。効果を確認し、リード調整の一方法として取り入れるとよいでしょう。

 リードを用意し、吹いて鳴り具合を捉えておきます。

 リードの後部とリードの中間部を両手の親指と人差し指でしっかり挟み、その間(ストック部)を5秒間くらい強く圧縮するようにします。リードが破損しない範囲で強くおこないます。

 DSC01484.JPG

 このようにすると、通常コシがしっかりとし、振動しやすくなります。

 

 次にリードの前半におこないます。これには台を用意するか、机などに紙を敷いて行います。

 先を手前にし、裏を下側にしてリードを台(紙)に布(綿か絹などの天然物で)を巻き、リードの前半の左右のセンターを、前から後へ圧縮するように20回くらい強めに擦ります。

 往復するような動作で行いますが、前方へ押し込むように力を入れ、戻すときは押さえないように行います。

 DSC01485.JPG

 これによりぼやけたような響がはっきりとした響になります。

 ダブルリードの場合は、リードの組み立て前に長手方向を指を用いて圧縮するようにしておくとよいです。特にリード材を水に浸したときに。

 

 次にこれとは違ったやり方を述べます。

 リードを選んで吹きはじめるとき、吹きはじめの鳴り方がよくありません。次のようにするとスタート時点の鳴りをよくできます。

 一方の手の親指をリード前方の裏に当て、人差し指で押えて持ちます。もう一方の手の親指と人差し指でリードのストック部を軽く挟み、リードの前後を圧縮する感じで5回程擦ります。

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実験8 マウスピースキャップの扱い方など

 マウスピースキャップは鳴り方を低下させます。この弊害を減らす方法がありますので以下に述べます。

 まず、写真のaとbによるキャップの外し方を行って鳴り方の違いを捉えて下さい。

 aはキャップの先を持って外す場合、bはリードの後半位置に親指を当てて外す場合です。この二つには差があり、bのほうが鳴りよくなります。

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 なお、ステージへの出番待ちのとき、bの状態にしておくと鳴りよくできます。キャップなしの場合は、その位置のリガチャーに親指を当てておきます。

 ダブルリードの場合は、リード後半部を親指と人差し指で挟んでおくと鳴りの良さが保たれます。

 

実験9 指を使ってのリードケースの改善

 指を使ってリードケースの改善を行います。

 リードケースの内部、右半分を親指を使って擦ります。

 DSC01493.JPG

 左側で収納したときと、右側で収納したときの鳴り方を較べます。

 右側のほうが鳴りよいことがわかったら、内部の残り部分を親指で擦ります。

 そして外側の右側を親指で擦ります。このようにして左側と右側の収納の違いを捉えます。この差がわかったらリードケースの外側の残り部分を親指で擦ります。

 

実験10 機械握りのおにぎりと手握りのおにぎりに違いはあるか

 これは楽器に関係ないように思われるかもしれませんが、体調をよくすることや健康の維持増進は広い意味の演奏技術になります。そこで本文では枠を広げてこういったことも扱うことにします。

 ごはんをラップに包み丸めます。これをおにぎりに見立てます。

 これを両手で丸め、リード後端に当てて音を出してみます。そのときのリードの状態にもよりますが、鳴りよくなるか、変化がないか、鳴りが低下しても少しの状態になります。

 次にプラスチック板の上にそのおにぎりを乗せ、プラスチック片で丸める動作を加えます。これをリードに当てて吹いてみると大幅に鳴りにくくなります。

 次に再び両手で丸めて、音を出してみると大変鳴りよくなった感じがします。

 以上により、手握りのおにぎりは、握った人の活力が入っていると捉えられます。健康上からもよいと考えられます。

 機械握りのおにぎりの場合は、もう一度自分で握ればよいとなります。

 こういった考え方をすると、「指圧療法」では親指が多用されますが、単に力を加えるだけでなく、活力も加えられていると考えられます。

 ある指が疲れたり痛むとき、その指に親指を当てる(力を加えず当てるだけ)などするのはよい方法と思います。