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楽器と実験 ー自分で行う楽器の整備ー 長松正明

3.リードの組織のバランスの取り方

 一般的に広く用いられている天然材によるリードは、和名でダンチクと呼ばれるイネ科の植物の幹(茎)を刈り取り、これを数年乾燥熟成させた材料を削って作られます。

 下の図はダンチクの幹(丸材)の断面図です。天然材であるために表側は密度が高く硬くなっており、裏側は密度が低く軟らかになっています。この差はかなり大きいものになります。

楽器と実験3-1.jpg

 これが天然材の一つの特徴で、陰影に富んだ表現をしやすくするという特徴を持つ半面、振動しにくくなるという難点を持つことになります。

 そこで、その難点を軽減することに取り組みます。

 

実験10 リードの裏側の強化

 以下はシングルリードの場合で説明します。

 音を出すためのリードと、リードを調整する工具に加工してもよいリード(以前はよく鳴ったけれどもう使わないものがよい)を用意します。

 まずはじめに、リードを調整する工具にするリードの加工から行います。

 そのためのリードはそのままでも使用可能ですが、効率よくするためにヤスリのような綾目をつけます。

楽器と実験3-2.JPG

 カッターナイフを用い、中心線に対し45°位の角度を持たせ、1ミリくらいの間隔でスジを入れます。次にそのスジに直交するスジを入れます。そしてリードの先から25ミリあたりを切り落します。以後これをリード材(ダンチク)ヤスリと呼びます。

 

1.リードを楽器に着けて音を出し、鳴り方を捉えておきます。リガチャーを用いず親指で押えて音を出すやり方もよいです。

 

2.次にリードの裏側をリードヤスリでタテ方向に10回くらい往復で擦ります。これで音を出してみると1.よりもはるかに鳴りよくなります。これは裏側が強化されて表側とのバランスがよくなってきたと考えられます。

 

3.さらによくする方法があります。次の図を参照して下さい。矢印は力を加える方向を示しています。それぞれ行って比較してみて下さい。 

 楽器と実験3-3.JPG

 aとa'では、aは組織の圧縮になって鳴りよくなります。bとb'では、右回しのbが鳴りよく、左回しのb'ではかなり鳴りにくくなります。

 bではサイド付近の力の加わりが左右逆になるので好ましくなく、その改善型がcとなりこの中では一番鳴りよくなります。c'は左回りで、この中では一番鳴りにくくなります。

 これらを行ってみて、回転方向によって鳴り方がかわるのは何とも不思議だと思われるかもしれません。

 今後はいろいろな作業において回転を用いますので、項を改めさらに追っていくことにします。

 

実験11 リードの表側の調整

 リードの表側は、センターに関しては裏側と同様に後側は中間に向かい、前側も中間に向かって圧縮するようにリード材ヤスリで5回くらい擦るのがよいです。

楽器と実験3-4.JPG

 リード後半のサイドに対しては、ヨコ方向外側へ左右それぞれ1~5を各1回擦るとよいです。リード前半のサイドに対しては中心軸から45°くらいの外方向へ左右それぞれ1~5を各1回擦るとよいです。

 

 なお、ダブルリードの場合は、リード材ヤスリは丸材でスジを入れて作ります。

 行う作業は、リードを組み立てる前に行います。どのように行うかは、シングルリードの場合をアレンジしておこなって下さい。一番最後の図に示したリードの前半に対しては、完成リードでも行うことができます。

 

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